それでも英文日記を勧める理由

英語に自信を持てないあなたへ

こんにちは。会議通訳のあひるです。私は海外経験もなく,社会人になってから英語を学習して会議通訳になりました。あらゆることを試してきましたが,前回と今回はその頃の私に特に効いたことをお話しています。

妄想ひとり会話

前回英語が苦手だった私の転機として,友人との会話のプロセスをお話しました。どうやって自分の言いたいことを整理し,会話の準備をしていったかという内容です。

しかしこれは裏を返せば,当時はこのくらいの準備をしないと言いたいことのひとつも言えなかったんです。

そのため当時は,日々何か話したり考えたりするたびにいつも『これは英語でなんて言うんだろう?』と考えていました。これが今からお話する妄想ひとり会話の原点です。

例えば友人と飲みに行った帰り道。気のおけない友人と会うと,仕事やら趣味やら共通の友人やら恋人やら,まぁ雑多なことばかり話しますよね。そして帰りの電車の中,その日自分が話したことを反芻しながら『あれ,英語だったらなんていうんだろう』というのをゆるく,しかしひたすら考えていきます。

パートナーの愚痴を言った気がするけど私は何が不満なんだろう。どの部分が伝えにくいか,どうしたら伝わるか・・・,そんなことをとりとめもなく考えながら,できればその会話を英語で再現しようとしてみてください。コツは本当に明日にでも英語で話すつもりで,(頭の中で)しっかりなりきって語りかけることです。

例えば仕事の帰り道。終日仕事をしていればうまく行ったことや行かなかったこと,時にはイラッとしたり上司に怒られたり,いろんなことがあるでしょう。そんな時も帰りの電車の中,1日を反芻しながら英語ならどう説明できるかをゆるく,しかしひたすら考えていきます。

上司の質問にうまく対応できなかった,何が原因だったんだろう。どの部分が伝えにくいか,どうしたら伝わるか・・・,そんなことをとりとめもなく考えながら,できればその会話を英語で再現しようとしてみてください。コツは本当に明日にでも英語で話すつもりで,(頭の中で)しっかりなりきって語りかけることです。

何故これが,こんなにも効いたのか。これも後から振り返って初めて気づいたのですが,結局(根を詰めすぎることなく)常に思考を巡らせる習慣がついたこと,これに尽きます。

実際始めの頃なんてどれだけ考えても大した答えは出ないんです。適当に辞書アプリやネットを使いながら考えていましたが,それでも。だから何か具体的に新しい表現が身についたわけではありません。

しかし常に頭の片隅に『こういう時,英語ではなんていうんだろう』という疑問があることで,ふとした拍子に思いついたり,近い表現に出会った時のアンテナがとても鋭くなるんです。この,常にアンテナが張り巡らされている状態を作ることは本当に重要です。

それでも英文日記を勧める理由

そして,前回の転機となった友人との会話,今回の妄想ひとり会話の延長として,時間があればそれを日々書き出していました。暇さえあれば英語で書き出し,見直し,そしてああでもないこうでもないとまた書き直していました。友だちと話すために準備した内容やいつも自分が考えている内容ですから,言ってみればただの英文日記です。しかしこれもまた非常に効きました。

よく,英文日記は自分の表現があっているかどうかがわからない,間違えた表現をそのまま覚えてしまう可能性があるから教材などを覚えるべきだ,という意見があります。その点は充分に理解しつつ,それでも私は英文日記を強く勧めます。

何故なら重要なのは出来上がった英文自体ではなく,あれこれ考える過程だからです。

いざ英語にしようとすると自分の考えのあやふやなところに気づく。そしてあれこれ思考を整理しながら英語すべく考える。おそらく,初めはすんなりとはいかないはずです。しかしその疑問を,常に頭の片隅に置いておいて欲しいのです。

例えば,この『その疑問を,常に頭の片隅にに置いておいて欲しい』という表現がどうしても英語にできなかったとします。そうすると,あなたの頭の片隅には常に『あれは英語でなんていうんだろう』という小さな疑問符が浮かんでいる状態になります。

その状態で生きていると,例えば本や教材や街中などで近い表現に出会った時,一気に『これか!』と反応できるようになります。そのため,たとえはじめに作った文章が間違えていても,正解に辿り着けるスピードが格段に上がります。この詳細は,次回詳しく掘り下げます。

そして次の扉が開ける

継続がモノをいうようなものは何事も,目の前の段階をひとつクリアすると自然と次の扉が見えてくるようなところがあります。英語も同じです。

はじめは限られた分野であっても,その範囲で書く,聞く,話す経験を重ねていくことで英語力自体も向上し,自然と次のステップが見えてきます。もう少し広い範囲で英語を使えるようになったり,自然と外国人のお友だちが増えてきたり。

その第一歩として,まず今時点であなたの頭にあることを英語で表現できるようにしてみませんか?きっと世界が広がると思います。一緒に頑張りましょう,Bon Voyage!