こんにちは。会議通訳のあひるです。
前回,前々回と外国語講座やレッスンの活かし方についてお話してきました。とはいえ英語以外となると途端に選択肢が少なく,しかも高くなりますよね。今日は比較的安く(コストパフォーマンスよく)英語以外の言語を学ぶ方法をご紹介します。
【1】大学の市民講座(日本語で学ぶ)
大学の市民講座は比較的手頃な講座が多いです。大学によって異なりますが,週1回,10週程度のコースで3万円程度で開講しているものも結構あります。民間のスクール,たとえばマンツーマンレッスンなどと同じ期間で比較してみてください。コスパのよさが際立ちます。
基本的には大学の講義ですから,マンツーマンのような自由度はありません。しかし初めての言語を『まだ具体的な弱点があるわけではないが1人でやるのは不安』という場合,この価格帯は一考の価値があります。そもそも外国語は3ヶ月やそこらで習得できるようなものではないので,基礎をひととおり習得するにはおそらく最低1年は通うことになります。そういう意味でもこのコスパのよさはじわじわ効いてきます。
また,基本は大学の講義をベースにしているのでカリキュラムは既に確立されており,いいペースメーカーになります。
また,これは完全に言語やクラスによるので一概には言えませんが,正直未知の外国語の初学者向けコース,特に難易度が高い言語は離脱者が多いこともあります。そのため2,3ヶ月もすれば実質少人数レッスン状態になることも。そうすると,さらにコスパが上がります。
私は某大学のロシア語講座を1年間受講しました。12人?15人?で開始したクラスが学期も半ばには半分になり,半年後に次のレベルに申し込んだのは5,6人程度だった気がします。大学で専門の先生に半年間5,6人でしっかり教えてもらって3万円って安いですよね。
思うのですが,一般的にこういった市民講座は大学の主たる収入源ではないのではないでしょうか。広告映えする派手さはないものの堅実で良質です。
メジャー言語
私が首都圏に住んでいるので東京近郊に情報が偏ってしまうのですが,とりあえず知っている限りの情報を載せておきます。東京とは言えオンライン講座も多いので,地方の方,もしくは現地にいらっしゃる方でも参考になると思います。
まず東京外国語大学の市民講座:TUFSオープンアカデミー(オンライン)は言わずもがな,素晴らしい充実度です。
そしてスペイン語・フランス語・ドイツ語・中国語・韓国語,このあたりのメジャーな言語なら,東京だと早稲田大学の公開講座:早稲田大学エクステンションセンター(早稲田,中野),慶應義塾大学の外国語講座:慶應外語(オンライン),神田外語大学の公開講座(幕張新都心/オンライン)などで受講できるものがあります。上智大学の公開講座:コミュニティ・カレッジもかなり充実していたのですが徐々に縮小し,2024年度秋学期をもって募集を終了してしまいました。心から残念です。
探せば絶対他にもあると思います。お近くの大学などでも,ぜひ探してみては如何でしょうか。
マイナー言語
もはやテキストも存在しないようなマイナー言語に挑戦したい場合,外国語大学の市民講座を探してみましょう。
上でも触れた東京外国語大学の市民講座,TUFSオープンアカデミーはすべてオンラインでどこからでも受講でき,このラインナップは目を見張るものがあります。文字どおり名前も聞いたことがないような外国語までずらり並んでいます。しかもオンラインなのでどこからでも,何なら現地からでも日本語で(!)学べるってすごいですよね,さすがです。教材も先生も見つからないような言語なら一度覗いてみる価値はあります。
【2】外国語大学の学習コンテンツ(日本語で学ぶ)
上で触れた外国語大学,講座を受講しなくてもオンラインで様々な学習教材が用意されていることがあります。大学の講義は大抵4月/9月スタートなので,上記の講座のタイミングが合わなければこちらも一考の価値があると思います。
東京外国語大学の言語モジュールでは様々な言語の学習コンテンツが用意されていて,しかも教室用と学習者用があったりします。
大阪大学外国語学部の高度外国語教育独習コンテンツも,割とマイナーな言語まで学習コンテンツがあります。こういったオンライン教材も,多分他にもあると思います,ぜひ探してみてください。
【3】現地の大学のオンライン講座(英語で学ぶ)
英語で第二・第三外国語を学べる場合,オンラインでも様々なコースが見つかります。英語で“語学名+online language course”など探してみてください。
中でも,これはどうしても旧西側陣営の国々に偏ってしまうのですが,現地の代表的な大学で割としっかりとした外国語講座を提供していることがあります。該当国で代表的な大学を探し,英語で”大学名+online language course”, “大学名+外国語名+online learning” 等々検索してみるのも一興です。
試しに西も西,北欧代表(ロシアを除く)3カ国を見てみましょう。ノルウェー語なら,オスロ大学にオンラインコースがあります(Oslo University online language courseで検索したら出てきました)。スウェーデン語なら,ヨーテボリ大学にオンラインコースがあります(University of Gothenburg online Swedish courseで検索したら出てきました)。フィンランド語なら,アールト大学にオンラインコースがあります(Aalto University online language courseで検索したら出てきました)。
もちろん一般のオンラインコースも多々あるのですが,現地の大学の講座って少し留学気分が味わえるというか,やはり作りに現地の空気感を感じます。現地の大学なので現地語教育のプロが作っていると思いますし,おそらく実際にこういった大学に留学したら現地で教えてくれる先生,教材を元に作っていると思います。ちょっと探してみるのも楽しいですよ。
【4】海外の外国語学習アプリ(英語で学ぶ)
また,最近は外国語学習アプリも充実しています。もちろん日本語で学べるものもありますが,言語が限られていることもあります。英語で学べるようになると一気に選択肢が広がります。
個人的に特に独学によいと感じたのが,Pimsleur。新しい外国語はどうしても発音が難しいです(教材の少ない言語は,なおさら)。その点このPimsleurは各フレーズの発音練習方法がとても気に入りました。少しづつ区切って練習していくので,音の習得がとてもしやすいです。
各言語30分×30レッスン,無料ではないものの,これひとつで発音の基礎がこれだけしっかり学べるのはかなり安いと思います。とりあえずこのアプリで基礎的な発音・フレーズを身につけ,ある程度習得したところで他は独学する,もしくは上で紹介した大学の市民講座などを活用する,といった方法もオススメです(民間のスクールに基礎を習得できる程度の期間通うことを考えたら,圧倒的に安くなると思います)。
【番外編】政府公認スクール,の,文化施設や図書館など
これは都市部に限られてしまいますが,メジャー言語には各国政府の公認機関のようなスクールがあります。スペイン語ならインスティトゥト・セルバンテス,フランス語ならアンスティチュ・フランセ(日仏学院),ドイツ語ならゲーテ・インスティトゥートのようなところです。こういったところは講座自体は決して安くないのですが,オススメは図書館の活用です。多くの場合文化センターのような機能も担っているためで,講座をとっていない人にも無料で開放されていることが多いです。
英語以外の外国語の場合,テキストや現地語の本の選択肢が極端に少ない,手に入らない,あっても高い,といったことが多いと思います。
その点,こういった図書館はまず学習者用のテキストなども豊富です。多分その言語については日本で一番揃っていると思うので,実際に手にとってみていいものがあればAmazonで買う,などもオススメです。また,いわゆるテキストでなくとも,学習者にも比較的読みやすい本,ビデオなども多いですし,当然現地の新聞なども豊富です。お近くにあればオススメです。
如何でしたか?外国語は習得に一定の時間がかかる分,思わぬ金額が嵩んでしまうこともあります。必要なところは払い,必要なところは締め,金銭的にもうまくバランスをとっていくことが継続のカギになることもあります。一緒に頑張りましょう,Bon Voyage!