こんにちは。会議通訳のあひるです。
私は海外経験もなく社会人になってから英語を学習したため,会議通訳になるまではかなりの時間がかかりました。ここで何より重要なのは,とにかく続けること。今日は私自身がやっていた,継続するための工夫をご紹介します。
成果が出るから継続できる
英語に限らず,この忙しい日々,なにかを続けるというのは楽なことではありません。続けるコツというのはいくつもありますが,やはり一番重要なのは成果を実感できることかと思います。
学習を継続すれば成果は出るし,その前にやめれば成果は出ません。継続→成果です。同時に,いつまでも成果を感じられないとやはり継続は難しい。継続→成果も正しいですが,より重要なのは逆方向,成果→継続ではないでしょうか。
習慣化が大事だとか計画が大事だとか時間管理が大事だとか振り返りが大事だとか,よく言われます(私もこのブログでよく言います)。これも詰まるところ,うまいことうまく学習が続くしくみを作ることで成果が実感できるから続けられる,ということなのかと思います。そういった意味で,継続のコツは単に『続けられる』だけでなく,結局『早く成果を感じられる』ことを意識する,それが最後は結局効いてくるのではないかと思います。
【1】ゴールを時間で切る
以下の記事で詳述しましたが,英語学習の質と量のバランスは段階によって変化します。
しかし学習を始めたばかりの頃は,同じ教材を何度も繰り返しているのになかなかナチュラルスピードで理解できるようにならない。このような段階では,ゴールを時間で切るのも一案です。
この段階で内容ありきの計画を立ててしまうと,多分予定どおり終わりません。今日はテキスト1章,明日は2章・・・,などと考えていても,翌朝1章を見直すと,昨日しっかりやったはずなのに,聞き直すとやはりスピードについていけない。ここは知識の習得ではなくナチュラルスピードで英文を解釈するという身体スキルを体得するところなので,時間がかかるんです。もう,これはそういうものです。
ここでナチュラルスピードできちんと理解できないまま次にいっても効果は薄いし,同じものを続けていても進んだ気がしない。であれば,この段階では『1日1時間』など,日々のゴールを質や内容ではなく時間にしてしまうことです。というのは,この段階ではある程度の時間をかけて繰り返さないと結局成果が出ない,つまり物理的な時間が大事な時期だからです。
なお,時間で区切る時は1日単位をおすすめします。この段階では,たとえ毎日集中した学習はできなくてもなんらかの形では英語に触れてほしい。だから『1週間で7時間』では不安。しかし『毎朝30分』はさすがに出来ないこともある。そんな意味でも1日トータル○分などとし,終日忙しくて時間が取れなくても最悪帰りの電車で前日の教材をしっかり聴けば目標の半分はクリア,あとなんとか半分こなせば今日は終わり,このくらいの目標設定から始めるのがオススメです。
【2】やった量を可視化する
そして,日々学習した量はなんらかの形で書き残しておきましょう。初心者の場合はやった内容も重要ですが,やはり時間が大事です。上の【1】と同じですが,やった内容だけでは毎日同じことをしていて全然進んでいないように見えるからです。
月曜:テキスト①復習,火曜:テキスト①復習,水曜:テキスト①復習・・・,これでは成果は感じにくいですよね。でも月曜75分,火曜40分,水曜60分なら頑張った感じがしませんか?
通訳を生業としていると,常に鞄にストップウォッチが入っています。同時通訳はある程度長いものは2名以上,15分交代で行うため,時間を測るアイテムが必須だからです。私は日々,何をするにも時間を測るのが習慣になりました。英語学習に使った時間,1つの会議の準備に要した時間,ペーパーバックを読んだ時間,云々。これが習慣になると,ストップウォッチをONにした瞬間にガッと自分のスイッチも入るようになります。そういう意味でも時間を測るのはオススメです。
【3】成長を可視化する
年末にも少し触れたのですが,やった内容も重要ですがその時の感情も一緒に書いておきましょう。
まったく同じテキストを繰り返しているように見えても,ずっと同じようなレベルの本が終わらないような気がしていても,あなたの中で何かしらは変化しています。完全に主観でいいので,その感情を書いておくことです。
月曜:初めて聞いたけど何をいっているのか全然わからなかった,だったのが,金曜:集中して聴けば少しはスピードについていけるようになったかも,云々。
これ,週単位だとあまり成果が見えないかもしれません。しかし半年後や1年後に振り返ると,びっくりするような成長を感じることがあります。将来伸び悩んだ時に見返すと,自分でも気づいていなかった成果を感じられて継続の大きな力になることがあります。未来の自分への励ましのメッセージです。時々でいいので,ぜひ今の気持ちも書いてみてください。
【4】短期的な目標を設定して繰り返す
英語学習は長期戦です。1年前は全然聞き取れなかったのに1年経った今はかなりわかるようになった,そういう時間軸です。とはいえそれでは成果が見えにくいので,確実にクリアできる短期のゴールを設定しましょう。
目安は1ヶ月から3ヶ月です。今から3ヶ月集中してこのテキストを終わらせる,など成果ベースで設定してもいいですが,【1】のように今日から1ヶ月は毎日1時間はリスニングをする,など時間ベースの設定も有効です。2ヶ月後のTOEICまでは毎日30分必ずリーディングの問題を読む,など。私の場合,『テキストを終わらせる』など内容ありきの目標は2,3ヶ月,『毎日30分リスニングをする』など継続ありきの目標は1,2ヶ月くらいがうまく回ります。
これはたとえ同じように1年間集中して英語を勉強する場合でも,2ヶ月×6サイクル,3ヶ月×4サイクルなどとすることで,①振り返りの回数が増えるので成果・成長を実感しやすい,②集中度が増すので全体的に学習の濃度が上がる,といった効果があります。さらにPDCA(計画→実行→結果の振り返り→改善)のサイクルをより早く回せるので,より適切な学習ができる点も有効です。
【5】翌日やることを明確にし,準備をしてから寝る
些細なことですが,効きます。朝起きて一瞬でも『何しようかな』と思うヒマがあると,なし崩し的に時間がなくなります。1日の活動を終えた夜は大抵疲れています。朝起きて自動モードで学習に入れる状況になっていると,一気に継続のハードルが下がります。
家で学習するなら,机の上に翌朝やるべきものを全てセットして寝ます。朝起きてまずリスニングをするなら,再生ボタンを押せば流れる状態にして寝ます。朝起きてまず洋書を読むなら,起きたらすぐ開ける場所にその本(と,タイマー)を置いて寝ます。外で勉強するなら,出かける準備をして寝ます。
コツは,まず始めることです。もちろん朝は支度をしたり食事をしたりとやることはありますが,まず始めます。起きてすぐ洋書を読みたいなら,まず読み始めます。読んでいるうち,だんだんお腹が空いてきたら食事をします。そうすると,一度始めているため脳が読書モードになっており,食事をしていてもなんとなく早く読書に戻ろうという感じになります。これ,食事が先では起きません。シンプルながら結構効くので試してみてください。
【6】学習を始める条件づけをする
これもシンプルながらよく聞きますが,やはり効きます。日々の勉強をルーティンにしてしまいます。とりあえず机に向かってテキストを開く,決まった音楽がかかったら勉強モードになるよう習慣づけておく,など色々あります。
私の場合は朝起きたら何も考えずに家を出て,何も考えずに職場の前のカフェに開店時間(朝7時)に行き,席に着いたら自動で開始するモードになっていました。そして上の【2】で紹介したとおり,タイマーのスイッチを入れると自分のスイッチも入る状態でした。当時は始業が9時だったのですが,朝,頭が疲れていない時の90分て本当に長くて捗ります。コツは何も考えずに始められるしくみを作ることです。ご自身の生活に合わせてやってみてください。
以上徒然と書いてきましたが,如何でしょうか。やはり語学は継続がものをいいます。コツは根性論に持ち込まないことです。成果を感じる,自動モードにする,視点はなんでもいいのですが,ぜひ自分にとってうまく続くコツを考えてみてください。一緒に頑張りましょう,Bon Voyage!