【決定版】初学者が最速で英語をモノにするプロセス:まとめ

英語に自信を持てないあなたへ

こんにちは。会議通訳のあひるです。私は海外経験もなく,社会人になってから英語を習得しました。ここまではその経験を振り返りながら,英語が苦手だと感じる方へ様々なメッセージをお送りしてきましたが如何でしたか?

今日はここまでの総集編です。英語の苦手な方がもっとも効率的に英語を習得するための,私なりの結論です。

最速で英語をモノにするプロセス:まとめ

【0】英語が苦手という思い込みを解きほぐし,腹落ちする目標を設定する

『英語ができない』を分解すると,(意外と)英語力以外の要因も絡み合っています。英語力ばかりの問題ではありません。まずは何故『英語が苦手』だと感じるのかを理解しましょう。

『英語はなんでも聞き取れるようになる』は幻想です。しかしほとんどの方にとって,『今ご自身に必要な英語運用能力』をつけることは絶対に可能です。まずは習得すべき目標を明確にしてください。

人間,心の底で無理だと思っていることに長期的な時間と労力は割けません。『やればできる』と心底信じられるからこそ続けられるのです。そのためにも腹落ちする目標設定が成功のカギとなります。

【1】自分が普段考えていること,話していることを英語にする練習を始める

英語が苦手な人ほどアウトプットありき,つまり自分が言いたいことを英語にすることから始めましょう。普段考えていることをひとつひとつ英語にし,それをしっかり伝えられるように練習します。

この時点ではまだ思うように英語にできないかもしれません。しかしそれでも,この『英語で言おうとする』試行錯誤のプロセスだけでも大変な効果があります。なぜなら,『英語で○○ってなんていうんだろう?』という問題意識,それ自体が学習を加速するからです。

普段日本語で考えていることを英語にするには,『英語力を上げよう』という発想はいったん捨てましょう。逆です。自分の英語力で表現できる程度まで日本語を整理し,シンプルにすることがアウトプットのカギです。

【2】英文法の全体像を把握し,アウトプット練習⇄必要な文法事項の確認を繰り返す

自分の言いたいことを英語にしようとすると,文法事項の疑問が出てくるはずです。その時点で一度時間をとって,薄くて読みやすく,基礎から全体を解説してくれるような文法書で英文法の全体像を理解します。目標は『わからないことが出てきた時,テキストのどこを参照すればいいかがわかる』状態です。この状態でアウトプット練習⇄必要に応じて文法事項を確認,のサイクルを回していきましょう。

続けていくと,もう少ししっかりとした文法書が必要になると思います。物足りなくなってきた時点で書店に足を運びましょう。良さそうなテキストをいくつか選び,実際に自分が疑問に思った部分の解説を読み比べてみてください。テキストをきちんと評価でき,ご自身にあうものが見つかると思います。

そしてさらに,アウトプット練習⇄必要な文法事項の確認,を続けていきましょう。この時点で既に,知識や表現が増えたことを感じられると思います。

【3】リスニング,読む練習を始める

ここまで続けてくると,そこそこ英語の知識がついてくると同時に,自分にはどういった学習が必要なのかがある程度見えてくると思います。さらに『聞き取れない』など具体的な問題意識も出てくるのではないかと思います。このあたりでリスニングを始めていきましょう。

まずは短文からです。

短文がある程度聞き取れるようになってきたら読む練習を始めていきます。一定の速度で英文が読めるようになると,長文のリスニングに一気に効いてくるからです。

しかし,どこまでいってもアウトプット中心であることには変わりません。ご自身の段階に合わせてリスニングやリーディングで英語力の底上げを図りつつ,やはり日々自分の言いたいこと,心に浮かぶことを英語にする練習は続けていってください。

考古学者シュリーマンに学ぶ

ハインリヒ・シュリーマン(Heinrich Schliemann)をご存じですか?19世紀の考古学者ですが,考古学者でありながら大変に語学に堪能だったと言われています。シュリーマンの外国語習得についての記述を見てみましょう。

(中略)私は一心不乱に英語の勉強に打ち込んだ。そしてこの際,必要に迫られて,私はどんな言語でもその習得を著しく容易にする方法を編み出したのである。その方法は簡単なもので,まず次のようなことをするのだ。大きな声でたくさん音読をすること,ちょっとした翻訳をすること,毎日一回は授業を受けること,興味のある対象について常に作文を書くこと,そしてそれを先生の指導で訂正すること,前の日に直した文章を暗記して,次回の授業で暗唱すること,である。

『古代への情熱 シュリーマン自伝』少年時代と,商人としての人生行路(新潮文庫版より引用,P31,関楠生訳)

そう,これこそが外国語学習の真髄です。最後は引用かと思われるかもしれませんが,本当にこれ以上,何も加えることができません。手記には15ヶ国をマスターしたとの記述もあり,その真偽には賛否両論あるようです。実際に15ヶ国語を話せたかどうかは別として,私はこの記述を読むたびに彼は本当に語学が堪能であったのだろうと想像せずにはいられません。

古代の昔から,外国語に苦労してきた人はたくさんいます。現代に生きていろいろな情報が手に入る私たちは,ぜひ先人の学びを生かして最短ルートを行きましょう。シュリーマンには到底及ばないものの,私も英語には心底苦労してきました。だからこそ今から学ばれる方には,少しでも早くそれぞれのゴールを達成してほしい。それがこのブログのモチベーションでもあります。

まずは3年,たかが3年,されど3年

私は職業柄,英語を使って仕事をしている人の話をよく聞きます。これはあくまで個人的な印象ですが,日本で本気で努力を重ねて英語を習得してきた方々の話を総合すると(そう,本当にたくさんいるんです!),桃栗3年柿8年といったイメージです。『英語で自分の仕事ができる』が3年,『英語で冗談を言われて笑える』が8年。そしてこれは私自身の経験ともだいたい合致します。

そして始めの3年,つまり今自分に必要な英語力が身につけば自然に日常生活に英語が入ってきますから,8年はごく自然に到達します。そういう意味で,明確なゴールを設定して正しく努力をする始めの3年,これが大袈裟ではなく人生を変えます。3年集中することで残りの人生ずっと英語が使える基盤ができるわけですから。

今回で,本当に初心者の方へ向けたシリーズは終わりです。次回以降は初級から中級への大きな一歩となる,リスニングについてまとめてお話します。一緒に頑張りましょう,Bon Voyage!