【英語のツボ】“英字新聞が読めない”, ”英語ニュースが聞き取れない”への処方箋

英語学習のちょっとしたコツ

こんにちは。会議通訳のあひるです。

学習者用教材がある程度できるようになっても,そこからの英字新聞や英語ニュースってすごくハードル高くないですか?私は海外経験もなく社会人になってから英語を勉強したのですが,この壁にあたったのは通訳学校に通い始めた時。かなり苦労したことを覚えています。ここはどうすればうまく越えられるのか。通訳になった今振り返って思うことをお話します。

中級から上級への高い高い壁

英語学習を続けていて学習者用の教材はだいたいわかるようになった,TOEICも高得点を取れるようになった。いわゆる『学習』フェーズを超えてもう一歩先に行きたい。

そんな時に一度は憧れる(?)のが英字新聞やニュースではないでしょうか。でも,『学習者用』からの英語メディアって一気に難易度が上がるんですよね。しかも正直,その間をうまく埋められる素材もあまりない。ここをどう超えるか。

私自身も苦労しながら試行錯誤してきましたが,英語系メディアと日系メディアではアプローチが違います。英語系メディアは知識の問題であることが多く,日系メディアはニュースや新聞独特の言い回しや表現・語彙の問題であることが多い。これが,私のごくささやかな個人的結論です。

英語系メディアが読めない・聞けない時

ニュースならBBCやCNN,新聞ならFinancial TimesやNew York Times, 雑誌なら The EconomistやTIMEなど,海外発のメディアが難しい場合。ニューズウィーク日本版の購読がおすすめです。

基本的な英語力はあり,構文も表現もわかるのに中身がスッキリ入ってこない場合,背景知識が足りないことが多いです。そんな時は日本語で知識を増強するのが一番早く,現時点でもっともふさわしいのがニューズウィーク日本版です。通訳学校に通っていた頃に私もこのニューズウィーク日本版の購読を始めて,一気に英字新聞を読むのが楽になりました。

元々ニューヨークのメディアなのでアメリカ,そしてアメリカに利害のある国々の情報が多い傾向はあります。それでも現在,海外の政治・経済・ビジネスを日本語でカバーするメディアとしては,文字どおり随一だと思います。

日本にいるとアメリカの政治制度とか時事とか中東情勢とかウクライナ問題とか,意識的にならないと情報が入りにくい。しかし当然英語系メディアの中心はそういった内容です。難しいと感じたら一度ニューズウィーク日本語版を使い,まず日本語なら理解できるかを確認し,そして内容把握に努めてみてください。

ちなみにこの日本語版,Newsweek英語版とは構成が異なるため対比して読むことはできません(=英語版の対訳版としては利用できません)。あくまで日本語で読むためのものです。それでも知識が増えるとここまで楽になるのか,というのか実感できると思います。この背景知識の重要性は,リスニングの回でも詳述しています。

ちなみにここまでビジネス寄りでなくてもいい,もっと文化面のニュース・メディアに興味がある,という方にはクーリエジャポンがおすすめです。以前は紙の雑誌もあっ(て,私もよく読んでい)たのですが,今は電子版のみです。こちらは政治・経済・ビジネスのほか,教育やカルチャー,ライフスタイル,旅行などもっとライトな話題も多いです。そういった内容に興味がある方には,こちらもおすすめです。

日系メディアが読めない・聞けない時

対してNHK World(ニュース), The Japan News(新聞)のような日系メディアの英語版が難しい場合。日本語の新聞の対訳,特にAsahi Weekly Digitalがおすすめです。NHK Worldなど音声ニュースが聞き取れない場合も同じです。日系の英字新聞が読めるようになるとNHK Worldも割にすんなり聞けるようになります。

日系メディアの日本語版は読めるのに英語版が難しいなら,新聞やニュース独特の言い回しに慣れていないことが大半です。そのため日本語のリアルな新聞の対訳を使って英語表現を学んでいくのが効果的です。

今日本を扱うの英字新聞としては読売新聞社が本格的な英字新聞を(The Japan News),朝日新聞社が学習者向けの英字新聞を(Asahi Weekly)出している他,英語版のみのthe japan timesがあります。

The Japan Newsは読売新聞の日本語版を元にしているので,両方購読していると時々同じ記事が出てきます。日本語版から英語版に出るまで翌日〜数日と幅があっていつ出るか予想できないものの,うまく見つかれば英日を対照しながら学習できます(が,必ず見つかるとは限りません)。

ここで読売のようないわゆる英字新聞を使うか朝日のような学習者用を使うかは正直好み次第です。私が朝日をおすすめするのは学習者用だからではなく,Asahi Weekly デジタル版の社説の対訳がとにかく役にたつから,その一点です。

英字新聞を読む時,たとえば『A社の今期決算が発表され最終利益が前年比5%減』とか『X社とY社が合併に合意し最終調整に』とか,そういう事実ベースの表現もある程度は覚えないといけませんが,割と型が決まっているところでもあります。それよりも難しいのは,メディアにおける論説や主義主張の展開ではないでしょうか。

『英語の時事表現を学ぶ』という視点で見た時,社説はこの事実の報道と論説委員の意見や主張,このバランスが非常によいと感じます。私自身も通訳学校に通っていた頃,たとえ新聞や雑誌の新しい記事に触れられなくても日々Asahi社説の日英対訳だけは必ず読むことを日課にしていた時期があるのですが,これだけでもかなり英語力が上がりました。日本語訳がついているので無駄な時間もかからず,自分にとって新しい表現だけを確認できるのもよかったです。

時事を『アウトプットする』必要がある時

以上『読めるようになる』『聞き取れるようになる』,つまりインプットにはとても有効です。しかしこれを超えて『アウトプット』もしたい,つまり時事問題について自由に話せる表現力を身につけたい場合,茅ヶ崎方式・新英語教本がオススメです。

私自身もあれこれ手を出した結果,最終的にはこれで上級英語の基本を身につけました。とても効果があったので以前もご紹介していますが,これはいわゆる学習者用から時事メディアの橋渡しとしてとても有効です。上級である必要はありません。オススメは中級を何度も繰り返すことです。時事表現の基礎は充分身につきます。

如何でしたか?私自身,この『学習者』から一歩先,つまりは中級から上級へのステップとても苦労したもので,少しでもお役に立てば嬉しいです。一緒に頑張りましょう,Bon Voyage!